コラム

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巾木

コンセントを巾木に埋め込み、すっきりさせることが多い。
巾木の高さを 35 mm にして、家具用コンセントを使用する。
巾木はいつも「入り巾木」である。
壁を面として強調したいので、縁の部分を目地のように凹ませて処理する。
木製巾木を 25mm 幅でしゃくり、そこにアルミのL型アングルを留めている。
下から見ないと気づかないが、漆喰の下縁がボロボロと崩れないディテール。


ブラジルのアパート

設計事務所に勤め始めた時のマンションプラン。
まず驚いたことは、アパートの広さ。
ひとつの階に1世帯だけ。エレベータを降りれば、そこは玄関ホール。
駐車台数は4。居間と食事室は公私別で2つずつ。トイレの数は、なんと6つ。
この分譲マンション、ちなみにお値段は、約1千万円。


自治会館

4月初旬に「敷地変更」という急展開をみせた、自治会館の設計。
でも、これだけは変わらずにそのまま採用される内容も。 例えば‥‥、

取っ手は必ず「木製」。
これは昔、脳科学者の養老孟司さんが著名な建築家との対談で指摘したこと。
手から伝わる、金属の「ヒヤっと感」は、脳に相当なストレスを与えるそうな。

椅子はアイコというかわいい名前のメーカー。色も豊富で、どことなく華やか。
折りたたみパイプ椅子で進めていましたが、しまう時に指を挟んだ痛い経験も。
値段や収納面積を比較すると、意外にも「スタッキング式」に軍配が上がりました。


地 & 図 

航空写真も、建物の楽しみ方のひとつ。
地図 = 地(背景、余白)+ 図(人工物)という常識をひっくり返し、 地(運動場)を、図的に楕円で切り取った、横浜さがみ幼稚園。
上から見ると、なかなか目立つ存在になっています。

 

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竹富島

石垣島より高速艇で20分にある、竹富島の伝統的集落。
さて、各戸に共通するデザインの源を、どこまで読めるだろうか?

・ 切妻でなく寄棟の屋根は、風圧係数の低減。
・ 小石を積み上げた塀は厚く、強風を遮断。
・ 瓦を上から漆喰固めは、その飛散を防止するため。
・ 窓外の鉄格子、タイルなしの外壁は、飛来物による損傷を最小限に。

代々受け継がれてきた環境デザインには、不動の美しさが備わっています


鉄筋

上星川教会の現場。
急傾斜地崩壊危険区域やJR所有の擁壁の規制があって、 一部が片持ち形式という、特殊な基礎となったけれど、少しずつ進行中。
屋根がシェルなので、構造計算をできる人が、なかなか横浜で見つからず、
結局、イギリスのアラン=バーデンさんに担当してもらっています。

 

→上星川教会(プロジェクト)


Tom and Jerry

好んで使う手法のひとつ。 人にはいつも「フィルター」と説明。
 
音や空気や光を遮断するほど、明確に分離したくないとき、
気配ぐらいは伝わるように、柔らかく間仕切る。
大抵は収納を絡めることが多い。 結果、出入り口がたくさん並ぶ。
 
写真は、Tom and Jerry と呼んでいる方法
Tom(ネコ:大人)は通れないけれど、Jerry(ねずみ:子供)はOKという、
幼稚園で用いる二段式フィルター。

 

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谷村 美術館

写真は、谷村美術館(新潟県糸魚川市)。
建築家、村野藤吾の最後の作品で、仏像と部屋がセットになった設計。

実態は6本しかない腕が、その影をバックダンサーのように従え 千手観音のように乱舞。
華とか雅といったモノの見せ方として、実に見事な演出。


打ちっぱなしを楽しむ

コンクリートの質感の違いがこの写真で伝わるだろうか?
外部にはウレタン塗り型枠を使ったので、表面はツルツル、冷たい感じ。
室内には普通のベニア型枠を使ったので、仕上がりはザラザラで、暖かい感じ。

どちらも同じコンクリートなのに、肌触りで異なる印象を持ってしまう、「人間の不思議」

 

傘立て。 ふかしと呼ばれる。表面の15mmを ちょっと拝借
ここに、傘の柄を合わせ、 斜めに立て掛けてもらう「もくろみ」

 

→上星川教会(プロジェクト)


ささやく風

ブリオン家の霊廟。 私の一番好きな建物。
「建築は詩です」とは、カルロ・スカルパの言葉。
ここを歩くと、木の葉がささやき、風景が物語のように展開します。

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